看護師がモチベーションを上げる方法「フィッシュ哲学」を知っていますか?

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看護師がモチベーションを上げる方法「フィッシュ哲学」を知っていますか?
   
田中 看護師(がん看護専門看護師)
田中さん(看護師(がん看護専門看護師))

このコンテンツは、弊社が看護師免許を確認した看護師が執筆しておりますが、ご自身の責任のもと有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

看護師のモチベーションが低いまま、仕事をして働くとどうなるのでしょうか。

ご存知の通り、看護は楽な仕事ではありません。

責任が重く、ミスが患者さんの命に係わることもあります。

その業務に関わり続けるためには、自分の仕事に対するモチベーションの維持が大切になります。

しかし、看護師の仕事は同時に「感情労働」でもあり、常に患者さんやご家族、医師などに対して感情的な部分での負荷がかかります。

その結果として、仕事に対するモチベ―ションが低下し、患者さんや家族への対応が単調になる、仕事への興味ややる気を失い最悪の場合には退職を選択することになります。

看護師にとって、仕事へのモチベーションが保てないことは、看護を続けることができなくなることでもあります。

つまり、看護師を続けるためには、モチベ―ションが高い方が良いということが言えます。

このページでは私がモチベーションを上げるために行っていること、現在話題の「フィッシュ哲学」を説明しながら看護師がモチベーションを上げる方法をご紹介します。

モチベーションを上げるための方法(体験談)

モチベーションを上げるための方法(体験談)

私が看護師として勤務しながら、モチベーションを上げるために行っていた方法をご紹介します。

自分へのご褒美を作る:仕事の意味や意欲の向上

私が看護師としてモチベーションを上げるためにやっていたことの一つは、自分へのご褒美を作ることです。

頑張った自分に対して、アクセサリーを購入したり、本を買ったりと、自分のためにお金をかけてあげること、仕事をする意味や意欲を高めていました。

自分から挨拶をする:明るく笑顔を心がける

看護師としてモチベーションを上げるために、意識して挨拶を自分から行っています。

挨拶を返してもらえないこともありますが、多くの人はこちらが明るく挨拶をすれば、笑顔で挨拶をしてくれます

それは、患者さんやご家族の方も同様で、相手との関係性を良くするために、自分から挨拶をすることで、仕事へのモチベーションを高めるように心がけました。

花を買う:頑張りを「見える化」する

今、自分が意識していることは、2本だけ花を買うことです。

部屋も心も明るくなりますし、家族との会話も増えます。また、手間をかけることで2週間以上同じ花を楽しむことができるので、自分の頑張りを「見える化」することができています。

仕事で疲れた時も、好きな色の花で癒されるため、「明日も頑張ろう!」という気持ちがし自然と湧き、モチベーションを上げることができています。

その他モチベーションを上げるための方法

私が説明した上記3つ以外にも、もちろん看護師としてモチベーションを上げる方法があります。

将来を見据えてみる ・看護師としてのキャリアアップを考える
・今、看護師として何をすべきか考える
目標とする看護師を決める ・目標とする人物像を決め仕事を見つめなおす
・人に負けたくないという気持ちを持つ
医療関係以外の人と話す ・物事の考え方の違いを知る
・新鮮な意見を取り入れる

以上のようにモチベーションを上げるための方法は様々です。

自分独自のモチベーションの上げ方を理解することも大事

看護師として仕事を行っている中で、冒頭にも説明したようにモチベーションを維持することは非常に大事です。

そのため、自分自身がどのようなことでモチベーションが上がるのかを分析し、理解しながら独自の方法で取り組んでみてください。

日々の看護に「フィッシュ哲学」を取り入れよう

最近、全国の看護部などで導入され始めている「フィッシュ哲学」を、あなたは聞いたことがありますか。

「フィッシュ哲学」とは、倒産寸前だったアメリカ西海岸シアトルの魚市場「パイク・プレースマーケット」が導入した人材マネジメント手法のことです。

「フィッシュ哲学」を導入するまでの「パイク・プレースマーケット」は、きつい単調な仕事に職場の誰もが疲弊していた、「きつい・汚い・危険」のいわゆる3K職場だったそうです。

フィッシュ哲学

ですが、フィッシュ哲学のたった4つの行動原理である、

  • (1)遊び心を持つ
  • (2)相手を喜ばせる
  • (3)注意を向ける
  • (4)態度を選ぶ

を意識的に実践しただけで、魚をキャッチボールのように逆に放り投げるという、従業員と客が一緒となって楽しむ、地元で有名な人気スポットになったのです。

人材マネジメント手法は色々あります。

その中で、「フィッシュ哲学」は自分自身がポジティブな姿勢を保ち、遊び心を持ち、相手を、そして自分を楽しませることを意識するだけで、職場環境を変えることができる明日からでも実践できる人材マネジメント手法なのです。

それでは、看護に取り入れて看護師として考えてみましょう。

看護に遊び心を持とう

職場スタッフや患者さんが楽しくなるような遊びを取り入れてみましょう。

例えば、

  • 季節ごとにナースステーションの飾りを変える
  • 記念日カードを贈る
  • プチカラオケ大会を企画する
  • 固定用テープなどを可愛くおしゃれに工夫する
  • 入浴後の患者さんのヘアスタイルを変えてみる

など、楽しいイベントやちょっとした工夫を取り入れ、看護師も、そして患者さんやそのご家族も一緒に楽しみましょう。

患者さんを楽しませよう!

ただ、バイタルを測定するだけでなく、患者さんが思わず笑ってしまうような話を取り入れてみましょう。

辛い検査や治療さえも、緊張が緩むような、そんな言葉がけや態度で接してみましょう。

看護師の仕事中でも他人へ注意を向けよう

どんなに業務が忙しい時でも、あなたに向けられた視線や言葉を「聞こえないふり」「見ない振り」せずに、いつも気を配り、相手に注意を向けましょう

相手は、あなたの態度を、あなたが想像する以上に嬉しく思い、信頼するようになります。

看護師の仕事前に今日一日の態度を決めよう

勤務時間は、楽しく過ごしても、イライラしながら過ごしても、同じ勤務時間であり、同じ業務内容です。

だとしたら、「明るい声で、相手に対応しよう」とポジティブな姿勢で、患者さんやスタッフに接してみましょう。

明るい態度をとることで、周囲も、そして自分自身の気持ちも前向きに変化していくことができます。

自分で自分の態度を決める。これが「フィッシュ哲学」の第一歩です。

自分自信が楽しく看護をするために

「フィッシュ哲学」の4つの行動原理は、一つ一つが独立しているわけではありません。

ポジティブな姿勢な態度をとることを自分で決める「フィッシュ哲学」を看護に取り入れることで、自分自身のモチベーションを上げることができます

そして、自分自身が楽しく看護を提供することで、同僚や患者さんを明るく楽しい気持ちにすることができるのです。

「フィッシュ哲学」を取り入れる病院が増えています

相手を楽しませる「フィッシュ哲学」は、医療現場にぴったりの人材マネジメント腫瘍であると言われ、「フィッシュ哲学」を取り入れる病院が増えています。東京慈恵会医科大学病院は、「フィッシュ哲学」を日本で最初に看護現場に取り入れた施設です。

その取り組みは、東京慈恵会医科大学看護部のホームページで見ることができます。

東京慈恵会医科大学看護部のホームページ

病院を訪れるすべての人が楽しめるように、そして自分達がその職場で働くことが楽しいと素直に感じることができるように、様々な工夫やイベント、お互いへの配慮がちりばめられています。

他にも、岡山光南病院や、青洲会病院なども、「フィッシュ哲学」を看護部の取り組みとして導入しています。

自分一人では、自分のモチベーションの保ち方が難しいと感じている方は、実践してみるのも一つの方法ではないでしょうか。

まとめ:参考文献

参考文献:

「フィッシュ哲学」は「遊び心をもつ」「人を喜ばせる」「注意を向ける」「態度を選ぶ」の4つの行動原理の人材マネジメント理論です。

看護は、対人関係によるストレスでモチベーションが低下しやすい職種のため、簡単でいつからでも始められる「フィッシュ哲学」を上手に取り入れることは、モチベーションアップにつながります。

モチベーションを上げるために自分の態度を自分で選ぶ。

自分自身が楽しみ、そして相手に心を配り相手を喜ばせるための行動や態度をとる。

それは、看護の本質でもあります。

最近、モチベーションが低くて、やる気が起きないと感じている時は、「フィッシュ哲学」の4つの行動原理を実践してみませんか。

あなたが変われば、必ず相手も変わります。看護師が楽しく過ごすことは、患者さんためになるのです。

   
執筆・監修看護師

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