小児科病棟で働く看護師の患者家族との上手な関わり方

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小児科病棟で働く看護師の患者家族との上手な関わり方
   
田畑 看護師
田畑さん(看護師)

このコンテンツは、弊社が看護師免許を確認した看護師が執筆しておりますが、ご自身の責任のもと有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。

小児の看護において、家族への対応は必ず付いて回るものであり、最も重要なことの一つと言えます。忙しい時に家族からのクレームがあると肩を落とすしてしまいますよね。

正直面倒だなと思ってしまうこともありますが、ちょっとした心がけで、最悪の状況を避けることはできるかもしれません。このページでは、小児科病棟で働く看護師が少しでも働きやすくなるポイントをお伝えしていきます。

小児看護では家族の状況を理解してあげることが大切

小児看護では家族からのクレームを受けることが多いです。うんざりしてしまう気持ちも分かりますが、入院患児の家族の気持ちを理解してあげることによりイライラが軽減できます。

子どもが病気になった時の主な家族の心情や状況は以下の通りです。

  • とにかく我が子が心配で仕方ない
  • とても疲弊している
  • 突然の子どもの病気にパニックになっている

このような家族の気持ちを理解し、寄り添ってあげることも看護師の勤めです。

患者家族は子どもに何が起こっているのか分からず心配している

大切な我が子が入院となれば、その家族にとっては一大事です。いつも元気で可愛い笑顔を見せてくれる子どもが、普段とは全く違う様子になり家族はとても心配しています。

家族は自分自身のことでないからこそ、どのくらい辛いのか分からず心配になってしまうのです。そんな家族には、同じ病気を患った別の子どもの症例を紹介してあげるなどして、病気を理解してもらいましょう。

患者家族は心身ともに疲弊している場合が多い

家族は、泣き叫んだりぐったりしている我が子を寝る間も惜しんで看病しています。外来を受診して入院となるまでに様々な検査・手続き・説明を繰り返しているので、病棟についた頃には疲労困憊といった状態のことが多いです。

また、家族は近医・外来・病棟で様々な説明を受けてきています。病状のこと・治療のこと・入院生活のことなど、短時間でそんなに多くの情報が入ってくれば、当然忘れてしまうことも1つや2つあるでしょう。

そんな家族の気持ちを察知して、体調を気遣ってあげる・必要な情報を整理してあげるなどすると、家族の心の負担はグッと減るのではないでしょうか。

実際にあったクレームとその上手な対処法

働いていると本当に様々なクレームを受けます。クレーム対応で大切なことは、以下の通りです。

  • クレーム(家族の訴え)を真摯に受け止め、一通り傾聴する
  • 明らかにこちらに落ち度があった場合は誠意を持って謝罪し、必要ならば上司にも謝罪を依頼する
  • クレームの真意を明らかにする。小さな出来事が積み重なって不満となった可能性があることを頭に入れておく
  • 改善できる点は改善する
  • 変えることができない点はしっかりと理由を伝える

クレームは看護師の対応1つで穏便に済むこともあれば、大事件にまで発展することもあります。大事件に発展するとお互い嫌な気持ちになりますので、しっかりとしたクレーム対応を心がけましょう。

「子どもの病状が全然良くならない。」というクレームの対処法

病気によっては、治療を始めてもすぐに病状がよくならないものもあります。看護師はそれを重々承知していますが、家族は「入院したのだからよくなるだろう、ましてやこれ以上悪くなるなんてことはないだろう」という思っていることが多いです。

ですので、子どもの病状がよくならないと「ちゃんと診てもらえていない」と思ってしまう家族がいます。ですが、病状が良くならないといった理由の他にも、そう思ったキッカケがなにかあるはずです。

例えば、検査をしたのにその結果が医師からちゃんと説明されていなかったり、看護師を呼んだのに「ちょっと待っててくださいね」と言ったまま戻って来なかったことがあったり、いくつかの出来事が重なって「ちゃんと診てもらえていない」という評価を下されてしまうこともあります。

家族を不安にさせないためには、患児の様子を逐一伝えることです。例えばバイタルサインを測ったり観察をした後、前回と比べてどうなっているのかを伝えたりすると、家族は安心します。

また、検査があった時は家族が結果を聞いているか確認し、聞けていないようであれば医師と話をする時間を調整するとういうのも看護師の大切な役割だと思います。

「ちょっと待って下さい」には気をつけよう

看護師は「ちょっと待って下さい」をつい多用してしまいますが、具体的に「何分後」と伝える・「◯◯をしてから」と伝えることにより、家族はそのくらいなら待っても良いという気持ちになると思います。

時に、その家族のもとへ戻ること自体忘れてしまっていることもあるので、メモして確実に覚えておくようにすると良いです。

「夜に何度も部屋に入ってくると眠れない」というクレームの対処法

家族は眠れぬ夜を数日家で過ごし、子どもが入院して病状がよくなってきたのでやっと眠れる、といった気持ちだと思います。できればそっとしておいて欲しい気持ちも分かりますが、夜間の巡視は定期的に行わなければならないものですよ。

ましてや子供の場合点滴をしていることが多いので、点滴漏れがないかこまめに観察するために寝ていても体に触れなくてはいけないことも結構あります。看護師は子どもや親が起きてしまうキッカケを最小限にする努力が必要です。

事前に夜間の訪室頻度とその目的を伝えておく

「点滴をしているので、漏れてしまうともう1度痛い思いをして刺し直すことになります。◯◯ちゃんができるだけ痛い思いをしなくてもいいように、夜も1時間毎に見回りをさせてもらいますね。見回りの時は寝ていてもらって大丈夫ですよ」と事前に伝えておくと、理解を得ることができます。

また、訪室頻度を最小限に抑えることも大切です。せっかく部屋に入ったのにやらなければならないことを忘れ、もう一度部屋に入るということのないように、部屋に入る前にやるべきことを確認すると良いです。部屋に入る時は、足音や物音を立てないよう心がけましょう。

「兄弟はなぜ面会できないのか」というクレームの対処法

入院時のオリエンテーションで、兄弟が幼い場合は病院で何かのウイルスに感染してしまったり、逆にウイルスを病院に持ち込んでしまう可能性があるため、小児病棟には子供は面会に入れないと説明したのにも関わらず、兄弟を病棟へ連れてきてしまうことがあります。

その原因は、オリエンテーション時の説明が多すぎてそのルールを忘れてしまうためです。ルールをしっかり把握してもらうためには、入院時に「ご兄弟はいますか?」と聞いておき、上記の理由を添えてなぜ兄弟が面会できないのか説明しましょう。

万が一病院まで連れてきてしまった場合は、「お子さんは免疫が未熟なので、病棟に入ってご兄弟に胃腸炎やお風邪がうつってしまわないように、面会を控えてもらっています。」と、兄弟の安全を配慮していることを強調して伝えると良いでしょう。

まとめ

いかがでしたか。忙しい業務の中家族の対応をしていくのは大変ですが、ポイントをおさえながら関わっていくことで、クレームが最小限になります。クレームを未然に防ぐためには以下のことが必要でしょう。

  • 困っていることがないかこちらから声をかける
  • 患児の状態を逐一伝える
  • 何かを依頼する時には必ずその理由を伝える
  • 待たせてしまう時は、その時間を具体的に伝える
  • 患児や家族が置かれている状況を想像しながら関わる

これらを心がけても、どうしてもクレームがでてくることがあります。、その場合、ただただ落ち込まず、クレームは何かを改善するチャンスと考えて誠実に対応していきましょう。

   
田畑 看護師
田畑 看護師
田畑 看護師
  • エリア:東京都在住
  • 保有資格:看護師
  • 施設経験:小児専門病院、総合病院、市民病院
  • 専門分野:NICU、小児科、脳神経外科、眼科

看護師を初めてから、小児専門病院、総合病院、市民病院に勤務し、NICU、小児科、脳神経外科、眼科等の病棟看護師歴が長いですが、結婚を機に、主婦になった経験もあります。臨床を離れて気づいたこともたくさんあり、少しでもお役に立てるような記事を書いていきたいと思います。

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