このコンテンツは、弊社が看護師免許を確認した看護師が執筆しておりますが、ご自身の責任のもと有用性を考慮してご利用いただくようお願いいたします。
双極性障害とは、「そう病エピソード」があり、「うつ病エピソード」がある患者を指します。再発率も高い病気で、予防的に内服を続けなくては行けない病気になります。
そう病エピソードとは、そう状態が一定期間続いている病態。「エピソード(病相)」とは「ある状態が持続している期間」という意味です。
(引用元:コトバンク)
うつ病エピソードとは、他の病気や精神疾患によってうつ状態が引き起こされる場合です。
(引用元:Yahoo!知恵袋)
また双極性障害(躁鬱病には)、1型と2型があります。
- 1型:そう状態とうつ状態を繰り返す
- 2型:軽そう状態とうつ状態を繰り返す
そう状態と、うつ状態を繰り返す患者とは、気分の波が、ジェットコースターのような物です。双極性障害の患者はこのような状態と戦っており、心身が疲弊していきます。
このページでは、双極性障害患者への看護のポイントについてまとめました。
双極性障害の患者の特徴を知ろう
双極性障害の患者の特徴を以下にまとめました。看護師として看護する上での特徴を理解しましょう。
【患者】 | 【状態】 |
感情 | 気分の高まり、刺激されやすさ 疲労感喪失、怒りっぽさ |
【説明】自分は何でも出来ると思ったり、無敵観が強くなったり、どれだけ活動しても疲労感を感じない状態になります。 | |
意欲 | 意欲過剰、注意散漫、抑制困難、興奮 |
【説明】あれもやりたい、これもやりたい、と様々な事に手を出すことがあります。他者が止めても一切耳を持ちません。 | |
行為 | 活動性亢進、多動・多弁 |
【説明】良く喋る、誰に対しても馴れ馴れしいなども特徴の一つです。 | |
身体状態 | 不眠、早朝覚醒、体重減少、性欲亢進 |
【説明】性的なトラブルを起こしやすいです。また睡眠欲求が減少するためあまり寝なくなります。 |
双極性障害患者の看護計画について
双極性障害患者の看護計画についてのポイントをお伝えしていきます。
- 刺激の遮断
まずは、外部の刺激を遮断し、そう状態を鎮静させる事が第一優先になります。 - 適切な薬物療法
病識が無く、拒薬する可能性があります。しかし、必要な薬であることを伝え、内服治療を進めていきます。 - 活動亢進によるセルフケア行動の低下に対する援助
セルフケア行動が低下していくため、看護師が援助し、ケアをします。 - 充分な睡眠を確保する
薬物や環境調整で、充分な睡眠を確保出来るよう援助します。
日々の患者への観察ポイント
看護師が行う患者への日々の観察のポイントをご紹介いたします。
他の患者とのトラブル
とにかく気が立っているため、他の患者に干渉したりすることがあり、トラブルの原因になります。トラブルがないよう、配慮しながら、注意深く観察する事が必要です。
注意散漫となり食行動が乱れる
あれもこれも考えているため、食事がゆっくりと取れず、食事中に立ち上がったり、部屋に戻ったり、とにかく落ち着きません。落ち着いて食事がとれるよう声をかけ、観察していきます。
活動制が亢進し夜間不眠となる
夜間に廊下を徘徊したり、ナースステーションに来たり、落ち着かない上に眠らないのが特徴です。しっかりと休むよう、声をかけつつ、休めない心情にも寄り添いながら、ケアしていきます。
身辺整理が出来ない
思考があちこちに散らばっているため、身辺整理が出来ません。看護師が手伝いながら、フォローしていくと良いでしょう。
多買傾向となる
売店で、大量にお菓子や日用品を買ってしまうケースがあります。落ち着くまでは金銭管理は看護師が行うと良いでしょう。
病識がなく気分高揚し離院する
双極性障害の方に限りませんが、そう状態の時は特に“自分は病気じゃないのになぜ入院させられているんだ”という思いが強いです。
離院の確率が高まってしまうため、外出許可は慎重に出さなければ行けません。しばらくは看護師同伴で外出する等も検討した方が良いでしょう。
双極性障害患者の治療に効果的な看護師の接し方
双極性障害患者の治療に効果がある看護師の接し方はどのような患者への接し方になるでしょうか。接し方のポイントは以下の通りです。
- (1):自己をコントロールできるように手助けする接し方
- (2):問題行動については、冷静に話し合い、患者の言い分も聞く事が大切
- (3):干渉や横暴的な態度で他患者とトラブルが起きたとき
少し詳しく確認していきましょう。
:自己をコントロールできるように手助けする
自分の病気について認識を持ち、そう状態がと思ったら、それ以上気分の高揚に持っていかれないよう、行動制限を自身で行えるよう努める方法を伝えます。
:問題行動については、冷静に話し合い、患者の言い分も聞く事が大切
もし問題行動が合った場合は、患者の良い分もしっかりと聞きましょう。そして冷静に注意を促します。決して感情的になってはいけません。互いに感情的になっては、解決しません。看護師は常に冷静で居なければいけません。
:干渉や横暴的な態度で他患者とトラブルが起きたとき
トラブルの際は、隔離して終わり、ではなく、その背景にある問題について看護師と患者で考えることが必要です。
:活発な行動については作業療法が有効
作業療法は運動や、物作りなど様々なプログラムがあります。患者に提案してみる事から始めます。
双極性障害患者に看護師が接する時の注意点
双極性障害患者に護師が接する時の注意点を2つお伝えいたします。
:いきなりそう転する患者への注意
いきなりそう転する患者がいます。昨日までは抑うつ気味だったのに、朝になったらイライラして怒鳴り散らす、などです。そう状態のスイッチはどこにあるか全く分かりません。
そう状態に入った時を見逃さず、その際に注意深く観察する事が必要です。
:突然殴りかかる患者への注意
突然殴りかかる患者がいた場合はすぐに女性看護師の場合は男性スタッフを呼びましょう。その場は「落ち着いてください」と言いながらすぐに逃げましょう。女性は決して止めようとしないことがポイントです。女性同士であってもパワーがあるのはそう状態の患者です。
まとめ
双極性障害の患者は、本人が一番苦しんでいます。なぜ理解されないのか、もっと出来る、もっとやりたい、それなのに止められる、と辛い思いをしています。
また、そう状態が終わったあとのうつ状態は、上がった後に下に下がる訳ですから、非常に精神的に苦しいです。身体的にも、エネルギーを使い果たした後のため、ぐったりしている状態です。
これらを理解し、看護ケアを行ってください。